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国選弁護の思い出


2010/10/09 18:39

「あなた、なんで控訴したの?」
弁護人による型どおりの質問が終わると、検察官が不思議そうな顔で被告人に尋ねた。いいツッコミだ。情状のポイントがあるのなら、ぼくも聞いてみたい。
事件は無銭飲食。被告人は前科4犯の解体工。地裁での判決1年8ヶ月を不服とした高裁審理である。
「いや、自分としては1年半ぐらいじゃないかと」
真剣な顔で訴えられてもなあ。2カ月しか違わないじゃん。それで控訴じゃ迫力不足もいいところ。検察官の後を受け、明らかにヤル気を失った裁判長が言う。
「『ぐらい』の中に入るじゃない」
「でも・・・」
(北尾トロ「裁判長!これで執行猶予は甘くないすか」)

 

 

 

いまは弁護士も増えて、新人研修用、及び司法修習生研修用の事件すら不足しているということで、もう2年くらい国選弁護をやっていないのですが、それまでは、事件の引き受け手がない「滞留事件」を中心に、結構国選弁護をやっていました。
滞留事件中心となると、基本は控訴審か上告審になります。
選任命令をもらって、被告人に接見に東京拘置所に向かうのですが、中には、どうしても法律上の控訴理由が見出しがたい事案があります。
上記の例は、まだ2か月を不服としているのだから、1年6か月だった事例をいくつか集めればいいのですが、僕が担当した事件では、判決に不服はないと言い切る被告人がいました。
「じゃあ、なんで控訴したの?」
「共犯者の刑が軽すぎるから」
それ、君の事件と関係ないから・・・

あと、無期懲役の判決を不服として控訴した被告人がいました。
「死刑がいい」
いや、一審より重い刑を求めることはできないから・・・

控訴の取り下げを進めるという方法もあるが、そうすると一切未決拘留日数が通算されなくなってしまうので、形だけでも控訴審を進めざるを得ないのだ。

僕は、無意味に長い文章を書いて自己満足に浸るタイプの書面が大嫌いで、文章は短ければ短いほどいいという考えを持っているので、上の2例の控訴理由書は、2回ほど接見しても何も得るものがないと判断したら、3行だけで提出しました。
裁判長から呼び出され、まじめにやれと怒られました。
「まじめです。弁護人という立場で被告人と接見しても、法律上主張できる内容は3行です。」
裁判所から弁護士会に苦情が行ったそうです。
つらい立場だなあ。




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